衆議院選挙や参議院選挙といった国政選挙や知事や市長を選ぶ地方選挙も含めて、最近の開票速報は結果が出るのが非常に早くなっています。

時には投票終了後の夜8時になった途端に「当確」が出たりもします。
そしてそんな時は開票率がまだ1%だったり。
でも当選した人の選挙事務所が映されるとみんなバンザイしてますよね。見ていて奇妙に感じるのは私だけでしょうか。
そこで今回は選挙速報の仕組みについて調べてみることにしました。
不思議に思っていた方々もきっと納得されると思います。どうぞ最後までお付き合い下さい。
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目次
なぜ投票が終った直後に当確が出るのか?
投票終了の夜8時に当確が出ることがあります。どうしてそんな事が出来るんでしょうか。
それにそんなに早く出す必要があるのかも疑問ですよね。特に国政選挙のときにはテレビ局各社は報道特番を組みます。
じつはこれが原因でもあるんです。
つまり各局とも他局よりも早く情報を伝えようとして競争原理が働いてしまうんです。
その結果、8時ちょうどに当確が出ることに。
それからこの「当確」という言葉の意味は「当選確実」であって「当選確定」ではないことに注意して下さい。
予測が外れても逃げられるような言葉の表現にしてあるんです。
その仕組みとは?
テレビ局に限らず報道各社は選挙前から情報収集や分析などを行っています。
立候補者の知名度や実績、支援団体についてや組織票の強さなどですが、担当記者はそれらの情報からまずは予測を立てるんです。
この選挙区は○○さんになりそうだと。選挙期間中は各候補者の選挙事務所に取材をかけます。
どんな取材かと言うと「相手陣営の確定票はどれくらいと考えているのか」を聞き出すんです。
自分たちの確定票については口をつぐみますが、相手陣営についてはいろいろ教えてくれるそうです。
これらの取材の積み重ねで方向性が見えてくるそうです。
そして出口調査の結果や開票所での開票作業を双眼鏡でチェックして最終判断を下すことになります。
出口調査とは
有効な取材の一つに出口調査というものがあります。日本では1989年から行われるようになりました。
投票した人から誰に入れたのかを聞くわけですから確実性が高いですよね。
でも本当に信用していいんでしょうか。
自民党に投票したのに共産党に入れたという嘘を付く人だっているかも知れません。
確実性を上げるためにはある程度の母数が必要となってきます。では具体的には一体どれくらいの人から聞き取りをするんでしょうか。
何人位聞き取りをするの
テレビ局、報道各社ともに具体的な人数を公表することはないので正確な数値はよくわかりませんが、2007年の参院選では日本経済新聞で調査対象者74,000人、朝日新聞で有効回答185,000人という数字が残っています。
最近ではNHKが出口調査に力を入れていて、国政選挙では数千人規模のバイトを雇い、調査をさせていると言われています。
仮に3,000人のバイトが一人あたり20人から回答を得たとすると、それだけで60,000人を調査したことになりますから、日経新聞や朝日新聞の数字は、あながち間違ったものではないかも知れません。
信用できるの?嘘ついてないのか?
調査対象者が仮に嘘を付いたとしても、ある程度の母数を集めれば相殺されます。
そしてその母数から統計学を用いて予測をするんです。
ですから最近では大きく外れることは少なくなってきました。
統計学とは
それでは出口調査で使われる統計学とはどういうものなんでしょうか。
統計学とは、経験的に得られたバラツキのあるデータから、応用数学の手法を用いて数値上の性質や規則性あるいは不規則性を見いだす学問とされています。
つまり無作為に取り出したサンプルがある程度あれば、そのサンプルの結果から、かなりの確率で票全体の動向が読み取れるということになります。
この無作為がバラツキということになるんです。偏りがないということですね。
ですから10,000票の動向を知るには1%の情報があれば95%の信頼率が得られると統計学では考えるんです。
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今までに当確が出たのに落選した候補者っている?
2007年7月29日深夜、参院選の開票特番でフジテレビ系列の鹿児島テレビ放送(KTS)が、鹿児島選挙区(改選数1)から出馬した皆吉稲生さん=民主党公認=を誤って「当選確実」と報じたことがあります。
開票特番は29日の23時43分に皆吉さんに「当確」を打ちましたがその後取り消しました。
そして皆吉さんは落選に終わっています。
鹿児島テレビ(KTS)は翌30日夕方のローカルニュースで陳謝しています。
そんなときテレビ局の責任はどうなる
結論からいえば責任はありますが陳謝して終わりです。

前述した通り「当確」という言葉の意味は「当選確実」であって「当選確定」ではないからです。
ただ、そうはいっても報道機関としての信頼性は損なわれることになります。
つまり間違えると自分で自分の首を絞める事になるんです。まあ当然といえば当然なわけですが。
昔はこんなに速く当確は出なかった
出口調査が大々的に取り入れられる以前は早く当確を打つことは出来ませんでした。
日本で初めて出口調査を取り入れたのは青森放送で1989年のことです。
対象となった選挙は青森市長選でした。
同年に行われた参院選ではTBS系列が取り入れています。
この頃はまだこんなに早く当確が出ることはありませんでした。
取材現場でも試行錯誤があったのでしょう。
やがて調査方法や分析方法などが、徐々に洗練されていった結果、今日のように早く当確が出せるようになったんです。
まとめ
今回は選挙速報の仕組みについて見てきました。
各社とも緻密な取材と出口調査の結果を踏まえて「当確」を打っているんですね。
もっともそれでも間違えることはあるようですけど。
鹿児島の皆吉さんは「当確」が伝えられると支援者とともにバンザイをしちゃったそうです。切ない話です…。
さて、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。またお会いしましょう。
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