株式投資をするにあたって決算書を見て会社を研究しよう、とはよく言われることです。
ところがいざ決算書をみても言葉は難しいし、何のことやらさっぱりわからない、となってしまいがちです。
そこで今回は決算書の三大財務諸表の見方のポイントを分かりやすく説明してみました。
決算書にはどんなことが書いてあるのか見ていきましょう。
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目次
決算書とは財務諸表のこと
一般的に決算書と呼ばれるものは、財務諸表のことです。
「 貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」を三大財務諸表と言います。
財務諸表とは、企業が関係者に対して一定の期間の経営成績、財務状態の結果を報告するために「複式簿記」で作成する計算表です。
「 貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」を三大財務諸表と言います。
これらは会計期間の節目で作成されます。
会社法で決められている流れに沿い、財務諸表は取締役会で承認されたあと株主総会に提出されてから一般に公開されます。
・取締役会とは?(上場企業は設置が義務)
会社のトップである役員達が集まり、会社の重要な事項を決めます。株主総会に提出報告する決算書を会社として「確定」させる会議です。
・株主総会(会社法で定められている機関)とは?
株主(企業の株を持っている人)を構成員として会社の基本事項などの決定を行うために開催される。企業は決算書の「報告」を株主総会で「承認」する必要があります。※会社法438条2項より
決算書の三大財務諸表の見方のポイント
「貸借対照表」には会社に「現金」や「土地」や「建物」などの財産がいくらあるか?
銀行等から借りた「借入金」、会社設立の出資金や利益の積み上げ「純資産」がいくらあるか?等が書いてある。
「損益計算書」には売上はいくらだったか?
仕入れや人件費など費用はいくらかかったか?
利益はいくらだったのか?等が書いてある。
「キャッシュフロー計算書」には会計期間内での、「現金」の流れを示した書類です。
会社に現金がいくらあるのか?増えているのか?減っているのか?等が書かれています。
・キャッシュフロー計算書の必要性を解説します
貸借対照表は財産を表し、損益計算書は利益を表しています。
キャッシュフロー計算書の必要性に疑問を感じるかもしれないので、補足をしておきます。
会計上では「利益」と「手元にある現金」はイコール関係ではありません。
理由は商品、サービスで売上げが発生しても、顧客から現金を回収するまでには時間がかかる場合があります。掛け売り(ツケ)だと売上分の現金は後でもらうことになるからです。
つまり、利益が計算される「損益計算書」で利益が出ていても売掛金(ツケ)の回収、もしくは支払いが先に来てしまっていれば赤字の可能性もあるわけです。手元に現金がないと、仕入れ代金の支払いや借入金の返済ができず資金繰りが悪化してしまいます。
キャッシュフロー計算書では現金が把握できるし、現金の流れを見ることができるので重要視されるのです。
それでは、三大財務諸表に書かれている事を具体的に解説していきます。
貸借対照表(BS・バランスシート)とは
会社の財政状態をあらわします。
表の形は左右に分かれていて、
左側には資産の部(会社が集めた資金の運営状況が書いてある)
右側には負債の部(資金調達の方法、状況が書いてある)同じく右側には純資産の部(株主から調達した資金、利益の積み上げ状況が書いてある)
引用元:https://info.isi-grp.co.jp/blog/grandit/balance-sh...
右側の資金調達の方法(総資本といいます)は負債の部(借入金など返す義務がある資本)と純資産の部(返す義務のない資本)で分かれています。
・純資産
純資産は自己資本と呼ばれます。純資産は銀行からの「借入金」と異なり、返す必要がない資本です。
株主が会社に出資したお金なので、純資産は広義の意味では「株主資本」とも呼ばれます。
資産の部の合計金額と負債の部、純資産の部の合計金額は同じくで常にバランスが取れている。そのため、別名バランスシート(BS)と言われます。
資産は大きく2つに分かれている。
・流動資産(1年以内に現金化ができるもの):現金、預金、売掛金、商品、受取手形、小切手など。
・固定資産(1年を超えて保有する資産)
固定資産はさらに、「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」に分けられます。
「有形固定資産」は建物、土地、備品(機械)、車両など目に見える資産。売上を作るのに長く使っていく資産と考えます。
「無形固定資産」は少しわかりにくいです。
ソフトウェア、特許権、営業権など目に見えない資産の事を示しています。例えばソフトウェアなら制作、導入までにかかった総費用が記載されます。売上を作る営業には便利なソフトがあり使われていますよね。
特許権は特許を取るまでにかかった費用です。特許権がある製品は独占的に販売できますよね。その権利が目に見えないけど長く使える資産となります。
「投資その他の資産」は株式、貸付金、子会社など。
こちらも少しわかりにくいですね。例えば、貸付金。長期(3年返済)で貸したら返済の度に利息を受け取りますよね?長期で投資をしている資産の扱いとなります。
有形固定資産、無形固定資産に該当しない資産は、すべて投資その他の資産として表示されます。
負債は大きく2つにわかれている
「流動負債」は1年以内に返済する必要がある資本。「借入金」「買掛金(ツケ)」などのこと。
「固定負債」は1年を超えて返済する資本。銀行からの「長期借入金」会社が発行する「社債」などがある。
・社債とは
企業が発行する「借用書」みたいなものです。
○円を借りましたので、利息は○%で返済しますね。といった内容が書かれているものが社債です。
投資家は社債に投資をすると、発行した企業にお金を貸すことになります。
そして、利息をもらい約束日に元金を返済してもらうわけです。企業に対しての貸付金みたいな感じです。投資家も利息が良ければ銀行に預けるよりメリットがあります。
貸借対照表(バランスシート)は右側の負債のところに純資産があるのがややこしいですね。
これは左側が会社の財産、右側が会社の借金ととらえると間違ってしまいます。
右側は「財産の元となったお金の調達方法」です。ですから自己資本である純資産もお金の調達方法のひとつであるため右側に入っているのです。
引用元:https://info.isi-grp.co.jp/blog/grandit/balance-sh...
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損益計算書(P/L)
企業が会計期間に「利益をいくらあげたか、損失がいくら出たか」を計算されています。企業の経営成績をあらわすものになります。
収益から費用を引いて、プラスになれば利益、マイナスになれば損失と計算は単純です。
損益計算書は、プロフィット(利益)とロス(損失)で、略してP/Lとも呼ばれます。
引用元:https://info.isi-grp.co.jp/blog/grandit/profit-and...
損益計算書は、上から下に引き算をしていく感じの表です。
まず売上が記載されていて、かかったコスト(原価)が記載され引いた金額が「売上総利益(粗利益ともいいます)」が出ています。
「売上総利益」から、給料、事務所の家賃、営業活動(広告など)の費用「販売費及び一般管理費」をひいて「営業利益」が出ています。「営業利益」は会社の営業活動、つまり本業で稼いだ利益をあらわしています。
次に「営業外損益」のプラスマイナスを計算します。貸付金などの受取利息は営業外収益としてプラス。「営業利益」にプラスします。
次に「営業外費用」借入金などの支払い利息をマイナスします。営業活動以外、財務活動で発生した収益、費用を計算します。
その結果出てきた利益が「経常利益(けいじょうりえき)」といいます。「けいつね」と呼ばれたりもします。表でいうと水色部分の一番下です。
次に「特別損益」のプラスマイナスを計算します。
営業、財務活動で通常は滅多に起こらない損益を「特別損益」という。地震や台風など自然災害による損害を「特別損失」。
不動産などの固定資産の売却で得た利益を「特別利益」。
この2つをプラスマイナスして残った利益が「税引き前当期純利益」となります。ここから法人税などを引いて残った利益が最終的な利益となり、純資産にプラスされます。
表の一番下の「当期利益」ですね。
損益計算書の見るポイントは経常利益!
なぜ経常利益が重要なのか?
それは純利益(表一番下の当期利益)だけを見てしまうと、滅多に発生しない「特別損益」の加減によって会社が儲かって見えたり、反対に悪く見えたりするからです。
経常利益を見れば、会社が通常の経営でいくら儲かっているのかがわかります。
業績を比較する際の判断でも誤差が少なくなります。「特別損益」は滅多にない特別と認識しておきましょう。
そして、儲かっている会社は経常利益が高いことを覚えておきましょう!
キャッシュフロー計算書
キャッシュ(現金)が、どうして増えたのか?どうして減ったのか?が書いてあります。
キャッシュフローには「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の3つがあります。
引用元:https://www.ccss.co.jp/softa07.html
・営業キャッシュフロー
商品、サービスの代金の回収(プラス)、仕入れ代金、給料の支払い(マイナス)をあらわします。当然、プラスが望ましいですね。
・投資キャッシュフロー
固定資産の購入、売却による増減をあらわします。固定資産は会社の営業活動に必要な建物(工場など)、備品(機械)、土地などです。
固定資産が増えれば購入しているので、投資キャッシュフローはマイナスになります。
固定資産が減れば売却しているので、投資キャッシュフローはプラスとなります。少し、ややこしいので注意しましょう。
通常は投資キャッシュフローはマイナスです。それは将来的に利益を大きくするための設備投資を行っているからです。企業の将来を見据えた判断が大事になります。
反対にプラスだと、なぜ固定資産を売却したのか?老朽化?それとも資金繰りが厳しいからか?といった観点で見れたりもします。
・財務キャッシュフロー
キャッシュ(現金)の不足分をどのように調達したのかがあらわされています。
株主に配当を支払う、銀行に借金返済をすればマイナスになります。反対に、借入金や社債などで資金調達をすればプラスになります。
優良企業はやはりマイナスであることが多いです。借金を返済したという意味ですからね。
しかし、積極的成長を目指す企業なら借入金など資金調達も多く、プラスになる場合もあります。
まとめ
・決算書とは財務諸表
・財務諸表とは「 貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3つ
・「貸借対照表」は財産「資産」、銀行等から借りた「負債」、出資金や利益の「純資産」がいくらあるか?等が書いてある
・「損益計算書」は売上はいくらだったか?費用はいくらかかったか?利益はいくらだったか?が書いてある
・「キャッシュフロー計算書」は会計期間内の「現金」の流れ、使い方(回収、支払い)が書いてある。
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